屋根リフォーム(屋根と瓦の教科書)
屋根は、雨や雪や直射日光から、私たちの生活を守る大切な機能を果たしています。
重要な働きをしている屋根ですが、日常私たちの目に触れることが少なく、特に考察することは少ないと思われます。
今回は、ほんの少し屋根に興味を持っていただければと思い、
瓦に関するもろもろを書いてみました。
瓦の歴史
瓦は、私たちにとってなじみの深い屋根材料です。その起源はインドや中国と言われ、朝鮮(百済)を経て日本に伝えられ、大和平野南部の飛鳥の地に、飛鳥寺(法起寺)を造ったのが始まりと言われています。
やがて仏教の興隆とともに全国に普及していきますが、
その間に日本の風土に合ったものとして改良がなされていきました。
瓦の種類
1.本瓦(ほんがわら)
本瓦は、百済から伝わった形式を色濃く残す形態のもので、
社寺に多く見られる丸瓦と平瓦の組み合わせによって構成されています。
丸瓦が、あたかも一本の棒のように段差なく連結されているところに、本瓦の際立った特徴があり、
なめらかに連なる丸瓦と、その谷に細やかな段を刻む平瓦は、
その対比により屋根面に深い彫りを与え極めて重厚な雰囲気を醸し出します。
2.桟瓦(さんがわら)
現在、最も一般的に用いられる瓦の形式です。
その原型は、江戸時代中期に近江大津の瓦工によって創案されたと言われています。
波のような文様を描く桟瓦の屋根面は、ひたすら穏やかで、屋根面を美しく構成します。
その材料についても、瓦表面に釉薬を施した釉薬和瓦、釉薬瓦の中には、
少量の食塩を投入しその蒸気が瓦表面に吸収され、
アルカリ性に富んだガラス層ができる塩焼き瓦などがあります。
桟瓦葺きは、葺土を用いないため、建物の重心を低く抑えることができます。
ただし、屋根の断熱性能は葺土施工にはかないません。
3.スペイン瓦(S型瓦)
大正モダンの洋風建築が流行した大正末期に導入された形式です。
本瓦に似た葺き方ですが、丸瓦相互の間隔が狭いため、凹凸がきつく、
陰影のきいた素朴な印象の屋根面をかたち作ります。
後に防水性、施工性を改良したS型瓦が開発され、主流を占めるようになりました。
4.セメント瓦
モルタルを成型したセメント瓦と、モルタルに石綿を混ぜてプレス成型した厚スレートがあり、
和型・洋型・平型があります。
屋根の補修工事について
厳しい自然環境から私たちの生活を守っている屋根は、定期的に補修を必要とします。
瓦の補修について
建物は、日常の生活の中で少しずつ動きながら、構造的な安定を保っています。
屋根瓦は、微妙に動く建物の動きに追随しながら、
なおかつ雨水・雪から建物の防水性能を守る難しい仕事をしています。
このような難しい仕事をしている場所ですから、長い年月を経るに従い、少しずつその歪が大きくなってきます。
長い間、雨水の浸入を放置しておくと、湿気が構造上重要な束・梁に及ぶことがあり、
この段階になった場合、補修工事は大掛かりなものとなり、工事金額も多額になります。
このような理由から、屋根の定期的な調査・補修工事が必要となります。
工事スケジュ−ルについて
工事スケジュールは、現場の状況や、瓦の状況によって多少異なりますが、
おおよその日程を以下に記しております。
屋根の事例紹介
施工例
日本瓦には屋根勾配に限度がありますので屋根勾配にゆるい屋根材として
スレート系屋根材と金属系屋根材があります。
施工前
スレート葺
スレート屋根の老朽化が雨漏りの原因となっていたため耐久性のあるジンカリウム鋼板に葺き替え。
スレート葺(カラーベスト)
スレート葺(コロニアル)


施工後
ジンカリウム鋼板
ジンカリウム鋼板を基材とし表面に自然石粒で施工した高耐久の屋根材
